協会誌巻頭言
当協会について新年のご挨拶
公益社団法人熊本県精神科協会 会長 相澤明憲
熊本県精神科協会会員の皆さん,あけましておめでとうございます。 令和4年は,世界的な病気の流行が続く中で大国が主権国家に攻め込むということがあり,国内では元首相が白昼銃撃により暗殺されるという事件が起きました。この21世紀にこんなことがあるのかと思わざるを得ません。
新型コロナウイルス感染症は,年初には患者数も減少し,そのままおさまるのではないかと期待しましたが,その後のオミクロン株流行はそれまでをしのぐ大きなものになってしまいました。その結果,会員医療機関においてもその医療活動に大きな影響を受けることになりました。そんな中で,クラスターが発生した病院に対して会員病院間で人的支援がなされたことは,精神科協会内の共助の仕組みが働いたわけで,日頃から協会内で情報交換を欠かさず,お互いに顔の見える関係を作ってきたことのたまものであると考えます。また菊池病院,こころの医療センターの二つの公的病院には感染者を積極的に受け入れていただきました。民間病院と公的病院が同じ協会員として連携しているという熊本精神科協会の強みが発揮されたと言えるのではないかと思います。
あかねの里,あかね荘は42年前に私たちの先輩方が作られた精神障害者の社会復帰施設です。会員病院が資金を出し合って,患者を退院させるための施設を作るという他では決して見られないことが行われました。その活動は当時においては極めて先進的なものであり,現在の地域移行支援や就労移行支援サービスの先取りをしたものといってよいでしょう。そのあかねの里の運営上の収支が悪化し,このままではいけないという状況になりました。里長を中心に運営委員会,理事会などにおいて対策を検討し,協会員の皆さんに協力をお願いしました。職員の皆さんも大変な努力をされ,その結果収支の状況は改善し,何とか危機的状況は脱することができました。しかし将来を見すえると,このままではいけないということは明らかです。これからのあかねの里の役割・あり方について検討を続けています。今後も会員の皆さんのご協力をお願いいたします。
昨年2月,元理事である井形朋英先生が亡くなられました。先生は精神科診療所を代表して理事会に参加され,精神科病院と診療所の連携役を果たされました。また編集広報委員会の委員長として熊精協会誌の編集に長く携わっていただき,協会誌の充実発展に大きく寄与されました。何より先生は,その笑顔を絶やさない明るいお人柄によって,周りの雰囲気までも明るいものにされていました。本当に寂しく残念でなりません。病気流行の状況ということで,しっかりとお別れをする機会がなかったことも大きな心残りです。
4月の春の叙勲において,八代更生病院の宮本憲司朗先生が瑞宝小綬章受章(保健衛生功労)を受けられました。先生は長年にわたり院長,理事長として八代地域の精神保健福祉について多大な貢献をしてこられました。当協会の副会長として協会の運営に貢献されただけでなく熊本県医師会の理事を兼務され,協会と県医師会との連携役を長く果たされました。
10月には玉名病院の川原延夫先生が,地域での長年にわたる精神医療に対する貢献に対して厚生労働大臣表彰(精神保健福祉事業功労)を受けられました。先生方の受賞は協会の誇りとするところであり,心からお喜び申し上げます。
本年の10月には日本精神科病院協会の主催する日本精神科医学会学術大会が,熊本で開催されます。これまでも実行委員長の荒木邦生先生を中心に準備を進められてきましたが,これからいよいよ本格的な準備が始まります。日精協会員病院の先生方にはさまざまな形でのご協力をお願いすることになると思います。よろしくお願いいたします。また日精協の会員ではない先生方もぜひ関心を持っていただくようお願いいたします。
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- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「今までの人生を振り返り,更に今後の生き方について」(PDF)
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- 協会誌巻頭言「新型コロナの行方」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「人権制限の必要性と有害性」(PDF)
- 協会誌巻頭言「コロナ禍における覚悟」(PDF)
- 協会誌巻頭言「熊精協との30年」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「リモートあれこれ」(PDF)
- 協会誌巻頭言「感染症と社会 ~その世界的影響~」(PDF)
- 協会誌巻頭言「東京オリンピックとCOVID-19」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「パレアでの講演」(PDF)
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- 協会誌巻頭言「コンサルテーション・リエゾン精神医学を経験して感じる事」(PDF)
- 協会誌巻頭言「ダイエットの先にあるもの」(PDF)
- 協会誌巻頭言「指導医講習会に参加して」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「平成29年度第1回熊本県専門研修プログラムに関する協議会に参加して」(PDF)
- 協会誌巻頭言「日精協と熊精協の役割」(PDF)
- 協会誌巻頭言「復興支援の御礼」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「医療法改正と医療法人の事業承継」(PDF)
- 協会誌巻頭言「熊本地震から1ヶ月経過して」(PDF)
- 協会誌巻頭言「こんどの日曜日」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「大切なもの、それは・・・」(PDF)
- 協会誌巻頭言「気になっていること」(PDF)
- 協会誌巻頭言「人生いろいろ,診療所もいろいろ」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新年のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「危険ドラッグ使用障害」(PDF)
- 協会誌巻頭言「精神医療と5月の憂うつ」(PDF)
- 協会誌巻頭言「自殺予防への取組み」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新春のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「日精協支部長就任のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「就任のご挨拶」(PDF)
- 協会誌巻頭言「新春のご挨拶」(PDF)